10/6 22:19 更新

鶏を売る店が、鶏に餌をやって帰った

台湾・4000坪の夜市に残った1軒

写真はイメージ Photo by Gena Okami on Unsplash

10/4 12:52 / 発信国:台湾

4000坪の夜市に灯りは1軒。半年分を前払いした店は、来ていなかった

台湾・彰化県田中鎮の「田中秧夜市」は、4000坪余りある。一度たたんだ夜市を、動線と配置を見直して2026年7月2日と6日に再開した。9月28日の夜、灯りがついていた店は1軒だけだった。塩水鶏(鹹水雞)の屋台である。

TVBSはこの光景に「沒看群組」、グループの連絡を見ていないのか、と見出しを付けた。

答えは逆だった。創業者の陳さんによれば、出店者のグループに連絡が届いたのは午後10時過ぎ。営業は月曜と木曜の午後4時から午後11時まで。閉める1時間前だ。連絡の内容は、どの報道にも書かれていない。店員は午後4時に来て、いつもどおり店を開けた。

1万5,000円の行き先

思い浮かぶのは、売上ゼロの7時間だろう。ところがTVBSによれば、この日の売上は3,000元余りあった。1台湾ドルは約5円なので、1万5,000円ほど。1軒しかいない夜市としては、健闘している。

ただしこれは売上で、手元に残る額ではない。台湾の主計總處の2023年の調査では、屋台1軒の年間売上は平均169万4千元、利潤は53万3千元。売上の3割強だ。この比率をその夜に当てはめると、残るのは900元ほど。約4,700円だ。

台湾の2026年の最低賃金は時給196元。1人が7時間立つだけで1,372元、約6,900円になる。900元では、自分に最低賃金を払えない。日本の2026年度の全国加重平均1,177円なら、7時間で8,239円。こちらも超える。

野菜は売れ残った。業者は、その日の新鮮な野菜を隣の親戚に全部渡したと書いている。鶏と鴨の餌としてだ。

半年分を前払いした店は、来ていない

では、4,700円のために7時間立つのは意地なのか。意地を張る理由を持っていたのは、別の店だった。

コメント欄には、自分も被害者の一人だと書き込んだ出店者がいる。出店料を半年分まとめて払い、一度に2区画買った、と。その店は、灯りがついていた1軒ではない。年会費を払ったジムに、結局行かなくなる人のほうが多い。

灯りがついていたほうは、中部の夜市に20軒近く出している業者だった。コメント欄に「我們毅力滿滿」、根気は満々だと書いている。20軒のうちの1軒が、週2回の持ち場に行っただけ、とも読める。

地元の人の見立ては身もふたもない。出入口が同じ方向にしかなく、車を停めにくい。売り物が重複しすぎていて、一周しても買うものがない。主計總處の調査では、台湾の屋台23万3千軒のうち12万5千軒、54%が小吃・食品・飲料類である。

4000坪は、来る理由ではない。売れ残った野菜は、親戚の鶏が食べた。鶏を売る店が、鶏に餌をやって帰る夜だった。

出典

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