10/9 17:49 更新

先週、買ったばかり
なのに

――ある客が、休業の知らせを見て

写真はイメージ Photo by Serghey Savchuk on Unsplash

10/7 20:14 / 発信国:日本

行列の生ドーナツ店が全店休業 負債3億5000万円は1年の売上に近い

2026年10月6日、生ドーナツ専門店「PIECE OF BAKE」の公式インスタグラムに、短い告知が出た。「諸事情により全店舗休業させて頂きます」。そして「営業再開の見通しは立っておりません」。東京・大阪・兵庫・愛知の5店が、その日から止まった。

店を運営していたのは、神戸市のYorkys Entertainment。会社は10月6日付で事業を止め、弁護士に後の処理を任せて自己破産の申し立て準備に入った。企業の信用調査会社・帝国データバンクによると、推定の負債は約3億5000万円。働いていた人は150人いた。

休業の数日前には、ハロウィン限定ドーナツの案内を出していた。あんなに並んでいたのに、なぜ。

売上は6年でほぼ横ばいだった

帝国データバンクの説明では、重かったのは出店の借り入れだ。店を出す費用などの借り入れが膨らみ、採算が悪化して債務超過に陥った。2026年9月末には、取引先への支払いが遅れ始めていた。

菓子店のカウンター
写真はイメージ Photo by Elisha Terada on Unsplash

売れていなかったのか。そうとも言えない。ただ、数字を並べると別のことが見える。生ドーナツを始める前の2019年11月期、会社の売上は3億7964万円だった。生ドーナツが5店に広がった2025年11月期は、約4億円。6年で、ほぼ横ばいである。

その間に、店は増えた。大阪の阪急三番街やうめきたグリーンプレイス、マリンピア神戸、東京の吉祥寺。半年前の2026年3月には、名古屋・栄の中日ビルにも出した。売れる総額はほとんど動かないまま、店の数だけが増えていった。

負債の約3億5000万円は、2025年11月期の売上の9割ほどにあたる。家計で言えば、1年分の収入と同じくらいの借金を抱えた状態に近い。

休業の3か月前に、全国で加盟店を募っていた

2026年7月16日、会社は「YORKYS BRUNCH」「YORKYS Creperie」「PIECE OF BAKE」の3ブランドで、全国のフランチャイズ加盟店の募集を始めた。最小5坪の小型店から、複数のブランドを組み合わせた複合店まで想定し、全国に広げると打ち出していた。その3か月後に、全店が止まった。

閉まった店のドアに掛かった札
写真はイメージ Photo by Tim Mossholder on Unsplash

では、何が起きたのか。代表の板倉洋輔は「社内において、会社の存続にも大きな影響を及ぼす重大な事案が判明」と説明した。中身は「関係機関への相談を含めて必要な対応を進めているため、現時点では明らかにできない」として、公表していない。インスタグラムのストーリーズには「まず先にきちんとお話ししなければならない方々がいます」「少しだけお時間をいただきます」とも書いた。10月7日の時点で、その事案が何かは分かっていない。

ネットの評判

掲示板の書き込みを集めたまとめサイトでは、「一回食ったら終わり」という声が目立つ。一度は試すが、二度は買わない。そういう評価だ。「ミスドでいいからね」と大手チェーンと比べる書き込みも並ぶ。「生ナントカってだいたいネチョッとしておいしくない」と、食感そのものを否定する声もあった。生ドーナツの流行はもう終わった、という見立てが多い。

残念がる声もある。毎日新聞は、三鷹市の主婦の「つい先週こちらのドーナツを買ったばかり。おいしかったのでまた買いたかったのに残念」という言葉を伝えている。

残ったのは、1年の売上に近い3億5000万円の負債と、再開の見通しが立たない5つの店だ。

出典

よく読まれている記事

こちらの記事も

← 一覧へ戻る