10/9 17:49 更新

その眼鏡、
外してもらえますか

――あるジムの受付が、客に

写真はイメージ Photo by Ozkan Guner on Unsplash

10/7 15:50 / 発信国:ノルウェー

ノルウェー、AI眼鏡を一時禁止へ 禁じるのは「場所」

ジムの更衣室に、隣の人が眼鏡をかけたまま入ってきた。ただの度付き眼鏡だと思った。

更衣室も、海辺も ノルウェーが挙げた場所

上はノルウェーでのお話だ。ノルウェー政府は10月5日、カメラとマイクの付いた「AI眼鏡」を、特定の場所で一時的に禁止する法案をストーティングに出すと発表した。

挙がった場所が、やけに具体的だ。公園、海辺、美術館や博物館、ショッピングセンター、公共のイベント。学校、幼稚園、遊び場、ユースクラブ。それに医療機関と、更衣室やシャワーのあるトレーニング施設。

デジタル化・行政大臣のトルゲイル・ミカエルセンは、こう話した。「人が知らないうちに写真を撮られたり、動画を撮られたり、音声を録られたりするおそれのある強力な新しい技術が入ってきていることを心配している」。監視されないのが当たり前だった場所で、人が不安を覚える社会にはしたくないという。

では、どんな眼鏡なのか。Be My Eyesという無料のサービスでは、目の見えない人が声をかけると、ボランティアが眼鏡のカメラ越しに周りを見て、耳元のスピーカーで教えてくれる。その様子が、次の動画で見られる。

フランスで約20件 「盗撮の道具」になった実例

ここが、ややこしい。同じ眼鏡が、片方では目の代わりになり、もう片方では盗撮の道具になっている。

フランスでは、ネット上の被害の相談を受ける団体e-Enfanceに、9月8日の時点で約20件の相談が届いていた。多くがMetaの眼鏡だ。街で女性が知らないうちに撮られ、その映像がTikTokやXに上げられていた、という訴えである。パリの検察は9月23日、プライバシーの侵害として捜査を始めた。体に触れる行為が伴う例では、性的暴行としての捜査も始まっている。フランスの法律だと、2年以下の拘禁と4万5000ユーロ以下の罰金が科される。

Metaは、撮影中はLEDのランプが光ると説明している。塞がれたり手を加えられたりしたのを検知すると、カメラは自動で止まるという。それでも、相談窓口に届いた話によれば、ランプを隠して撮ろうとする人がいた。

ネットの評判

技術系の掲示板スラッシュドットでは、賛否が割れた。反対の側からは、携帯電話にカメラが付き始めたときも同じ騒ぎだったという声が出た。頭に付けるカメラは禁止されないのに線引きがおかしい、という指摘もある。

賛成の側は、違いは隠れているかどうかだと言う。スマホを構える手は見えるが、眼鏡は撮られている側が気づけない。

禁じられるのは眼鏡ではなく、場所だ

では、便利な使い方はどうなるのか。ノルウェー政府は、眼鏡そのものを全部禁じるつもりはないと説明している。私的な場での使用は残る。そのうえで、立場の弱い人のために「社会のためになる使い方」を例外として認めるかどうかを考えるという。一時禁止の間に、専門家のグループが恒久的なルールを作る。

ノルウェー・オスロの街並み
写真はイメージ Photo by Nick Night on Unsplash

周りも動き出している。オスロの学校は、すでにカメラ付きの眼鏡を禁止した。ノルウェー最大の企業エクイノールは、オフィスと洋上の施設で使用を禁じた。オランダの眼鏡チェーンHans Andersは、レイバン・メタの販売を一時止めた。逆に、カリフォルニア州の知事は、似た内容の法案に拒否権を使った。

そして、ノルウェーが禁じようとしているのは、眼鏡ではない。公園と海辺と更衣室だ。

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出典

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