10/6 22:19 更新

賃上げ疲れ

――集計をした調査会社が、そう書いた

写真はイメージ Photo by Zhen Yao on Unsplash

10/6 17:32 / 発信国:日本

人手不足倒産240件、半数超は人件費で行き詰まった

東京商工リサーチが10月5日、2026年度上半期(4〜9月)の「人手不足」倒産を集計した。半年で240件。前年の同じ時期を17.0%上回り、同社が調査を始めた2013年以降の上半期では最も多い。目を引くのは内訳だ。人件費の高騰で行き詰まった倒産が130件あり、1年前の1.7倍(75.6%増)に膨らんで、240件の54.1%を占めた。

この130件は、賃金を上げた末に潰れた会社、という意味ではない。集計は、負債1,000万円以上の倒産から求人難・従業員退職・人件費高騰に当たるものを抜き出したもので、各社がいくら賃上げしたかは示されていない。同社は「賃上げ圧力が中小企業の資金繰り悪化に拍車を掛けている実態が浮き彫りとなった」と書いている。

賃金の下限は、社長が決められない

賃上げをするかどうかは経営者の判断、と思われやすい。ただ、下限は法律が決めている。最低賃金法第4条第1項は「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」と定める。下限に届かない賃金を決めた労働契約は、その部分が無効になる。払わなければ、50万円以下の罰金が科されることもある。

厚生労働省は、この下限が賃金や物価などの動向に応じて「ほぼ毎年改定」されると説明する。2026年度の地域別最低賃金は、答申された改定額の全国加重平均が1,177円。前年度の1,121円から56円上がり、10月1日から12月2日の間に都道府県ごとに順次発効する。

日本商工会議所と東京商工会議所が2026年2月に行った調査(3,780社が回答)では、「最低賃金を下回る従業員がいたため、賃金を引き上げた」と答えた企業が45.1%。引き上げの負担感を「大いに負担」「多少の負担」と答えた企業は、合わせて76.6%だった。

下限より上でも、上げないと人が採れない

人のいない建設現場
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給与計算の書類と電卓
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両会議所が4月7日から5月18日に行った調査(2,260社が回答)では、2026年度に賃上げを実施した企業が39.2%、5月以降に実施予定が32.2%で、合わせて71.3%。賃上げ率は全体で4.01%、従業員20人以下の小規模企業では3.38%だった。

業績が上向いたから上げている会社ばかりではない。この調査は、業績の改善が見られないまま賃上げをする場合を「防衛的な賃上げ」と呼ぶ。それが、およそ6割を占めた。理由の上位は「物価上昇への対応」68.2%、「人材の確保・採用」66.7%。報告は「防衛的賃上げは引き続き高止まりしており」と書いている。

人が採れないから上げる。上げれば資金が細る。240件のうち人件費高騰は130件で、差し引いた110件は求人難と従業員退職によるものだ。どちらの側でも、会社は倒れている。

倒れた会社は、小さなところに偏った。資本金1,000万円未満が159件で、240件の66.2%。サービス業他91件、建設業55件の2産業で60.8%になる。東京商工リサーチは「10月以降、全国で最低賃金が引き上げられ、物価高と人件費上昇のなかで『賃上げ疲れ』が顕在化し、『人手不足』倒産は増勢が続いている」としている。

ネットの評判

掲示板の書き込みを集めたまとめサイトには、「本当に人手不足倒産ですか?給与不足倒産ではないですか?」「ええことやん。低賃金しか出せない会社は淘汰されるべき」といった書き込みが並ぶ。「賃上げ疲れってなんやねん」と、言い方に引っかかる声もある。値上げができないまま人件費だけが上がる状況を心配する投稿もある。

240件のうち229件は破産だった。全体の95.4%。立て直して続けるのではなく、たたんで終える形が、ほとんどを占めた。

出典

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