10/6 22:19 更新

蚊1匹のために、
いくらまで出せる?

――ある夏の夜、枕元で

写真はイメージ Photo by Ronald Langeveld on Unsplash

10/5 00:18 / 発信国:中国

中国発、蚊をレーザーで撃つ20万円の機械 元を取るのに40年

飛んでいる蚊をレーザーで撃ち落とす家庭用の装置「Photon Matrix」の予約受け付けが始まった。作ったのは中国・常州の常州光子矩陣智能科技(Changzhou Photon Matrix Intelligent Technology)で、価格は1288ドル(約20万4000円)。公式ストアは15%引きの1088ドルを表示し、予約分は120日以内に発送するとしている。

動く様子は、メーカーが公開している動画で見られる。

仕組みはこうだ。LiDARが半径6メートル・水平90度の扇形を、毎秒5万回走査する。拾うのは、体長2〜20ミリで、秒速1メートル以下でしか飛べない物体。これを蚊とみなし、狙いを定めてから0.003秒でレーザーを撃つ。撃つのは蚊の羽を貫く低出力のパルスで、青い光が見える版と、見えない赤外線版がある。メーカーは毎秒30匹以上を落とせるとしているが、第三者が確かめた数字ではない。公式ストアによると消費電力は20ワット以下、動作音は30デシベル未満、保証は12か月。撃ち落とした数のランキングを専用アプリで見る機能も付く。

1晩で7000万回再生、注文が殺到した

GIGAZINEによると、クラウドファンディングの出足は鈍く、1日の調達額は約2000ドルにとどまっていた。流れが変わったのは、考案者の王川が何気なく撮ってTikTokに上げた動画である。1晩で7000万回以上再生され、注文が殺到した。最終的に、世界中から3000台以上の注文が集まったという。

クラウドファンディング当初の価格は648ドル(約10万3000円)だった。今の表示価格は、その倍近い。値上げの理由は、GIGAZINEの記事にも公式ストアの製品ページにも書かれていない。

ネットの評判

はてなブックマークでは161人がブックマークし、コメントが78件付いた。目立つのは安全を心配する声で、閉じていない場所でレーザーを使うのは怖い、目を蚊と間違えたらどうするのか、という指摘が並ぶ。レーザーをよけられる蚊だけが生き残るのではないか、という見方もある。同じような装置は10年近く前からクラウドファンディングに出ていた、と既視感を述べる声もあった。

安全については、メーカー側にも答えがある。ミリ波レーダーが大きな物体の接近を見つけるとレーザーを止める、という仕組みだ。公式ストアの仕様表は、IEC 60825-1のクラス4にあたる内部ダイオードを完全に囲い、多層の能動的な安全保護を備えると説明している。クラス4は、IEC 60825-1を日本語に訳したJIS C 6802で「ビーム内の観察及び皮膚への露光は危険」とされる区分である。ただし、製品全体としてどの等級で扱われるのかは、公式サイトの記載からは確かめられなかった。

線香とラケットと、並べてみる

まず費用を並べる。金鳥の渦巻は30巻入り1缶が1389円(アスクル、2026年10月4日時点)。1巻で約7時間もつので、1晩1巻なら46円ほどだ。電撃殺虫ラケットは、ケータイWatchの記事で498円。単三電池2本で動く。

レーザー側は電気代になる。消費電力20ワットで1晩8時間使うと0.16キロワット時。全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価31円で換算すると、1晩およそ5円。6月から9月までの120晩で、約600円になる。同じ120晩を蚊取り線香でしのげば、約5600円かかる。

効果はどうか。ここは並べにくい。線香は1巻で約7時間、煙が部屋に回る。レーザーが守るのは、公式ストアの書き方では半径6メートル・水平90度の扇形という、平らな面一つである。ラケットは、人が振った分だけ効く。三つを実際の駆除効果で比べた第三者のデータは、見つけられなかった。

動かす費用だけなら、この機械は蚊取り線香より年5000円ほど安い。ただし本体は20万4000円である。差額を線香代で埋めるには、40年あまりかかる計算になる。

出典

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