10/6 22:19 更新

1億5000万ドルって、
他人事じゃないよね

――スーパーのじゃがいもの前で

写真はイメージ Photo by Wolfgang Weiser on Unsplash

10/4 23:40 / 発信国:日本

米国産ジャガイモ解禁前倒し 米国が見込む225億円は農家900〜1800戸分の畑

米国産の生鮮ジャガイモを解禁するかどうか、政府の最終判断が前倒しになる可能性が出てきた。共同通信が2026年10月3日に報じた。当初は2〜3年とみられていたが、米側が日本の求める対応を速やかに進めれば、早ければ1年程度で判断するという。背景は、自国の農家にアピールしたいトランプ米政権の要求だ。

日本は病害虫の侵入を防ぐため生鮮ジャガイモの輸入を原則禁じており、例外は2006年に認めたポテトチップ用だけだ。2020年に米国が一般流通用も求め、農水省が世界貿易機関(WTO)の協定に基づく手続きを始めた(時事通信)。売り場に並ぶ生鮮は、今は国産である。

米国側が見込む額は、年1億5000万ドル

米国の生産者団体ナショナル・ポテト・カウンシルは2026年3月11日、日本市場が開けば年1億5000万ドルの新規輸出になるとの見通しを示した。上下両院の68人が解禁を優先課題にするよう大統領に求めたのに合わせた発表である。

この金額を日本の畑に換算してみる。仮定を置いた本誌の試算だ。1ドル150円なら約225億円。東京都中央卸売市場の男爵薯は1キロ年平均171円だった(令和2年、農畜産業振興機構)。この値段で225億円分を売るには約13万トン、半値なら約26万トンが要る。米アイダホ州産ラセット・ノーコタ種の出荷段階の加重平均は、2026年4月4日までの週で1cwt(約45キロ)あたり9.04ドル、1キロあたり約30円だった。産地の出荷値と東京の卸売値は直接比べられないが、桁が違う。

北海道は2025年産で、4万8200ヘクタールから169万2000トンを収穫した。高温と少雨で前年産より1割少ない年だ(十勝毎日新聞)。1ヘクタール35トンで割ると、13万〜26万トンは3700〜7500ヘクタール分。1戸あたりの作付面積4.2ヘクタール(令和元年度、同機構)で割れば、農家900〜1800戸分の畑になる。道内の作付農家1万1931戸の7〜15%である。

北海道の収穫のうち生食用がどれだけかは出典では確かめられず、国産がそのまま置き換わるとは限らない。

木箱に入ったじゃがいも
写真はイメージ Photo by Eric Prouzet on Unsplash

病害虫は21種、入った畑は何年も使えない

農水省は2026年8月28日、検疫で措置が必要な病害虫21種を特定したと発表した(時事通信)。手続きは3段階あり、共同通信によると9月に最終工程に入った。殺虫処理や目視検査といった侵入防止策は、これから詰める。

線虫が畑に入ると何が起きるかについては、前例がある。ジャガイモシロシストセンチュウが2015年8月に国内で初めて確認されたとき、見つかった圃場ではナス科作物の栽培が禁止された。緊急防除の期間は6年と定められた(農研機構、農畜産業振興機構)。

北海道の鈴木直道知事は8月21日、「病害虫の侵入防止、国内の生産対策が講じられない限り、輸入解禁は受け入れられない」と述べた。JA北海道中央会の樽井功会長は8月18日、「断じて容認できない」と語った(NHK)。

ネットの評判

このNHKの記事には、はてなブックマークが242件付いた。反対がほとんどで、「シストセンチュウは一度入ると駆逐するのは不可能なんだが」と線虫を名指しする声が多い。まとめサイトには「今すぐ入れろ アイダホポテトを食べたい」という声もあった。

日本はすでに米国産を食べている。令和2年の冷凍ばれいしょ36万3808トンのうち74.9%が米国産、ポテトチップ用の生鮮2万3198トンは全量が米国産だった。

出典

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