10/6 22:19 更新

日本刀が曲がっても、
踏んだら直る

竹林の伐採を日本刀でやってみた動画

写真はイメージ Photo by Seiya Maeda on Unsplash

10/4 23:37 / 発信国:日本

竹が切れずに日本刀が曲がった 達人が受け取って最初にしたのは、切ることではなかった

竹林の伐採を、日本刀でやってみる。2026年10月2日、日本拳法空手道勇和会の最高師範・鈴木勇悦がXに投稿した動画は、そんな場面から始まる。ひとりが刀を振る。竹は切り落とせず、刃は食い込んだまま進まない。そのうちに刀身が曲がってしまった。

ここで刀は達人の手に渡る。見ている側が待っているのは、当然「すぱすぱ切っていく場面」である。ところが達人が最初にしたのは、切ることではなかった。曲がった刀を足で踏み、まっすぐに戻したのだ。そのうえで竹に向かい、今度は次々と切り落としていった。

投稿と返信をまとめたページ(Togetter)には、この順番に驚く声が並んだ。「『刀身が曲がったら踏んで治す』とは以前に小説を読んでて目にした事はありますが、実際に行ってる光景は初めて見ました」(@Quel1721)。「同じ場所に正確に刃を入れられるのがすごい」(@Shin4hx5)。はてなブックマークにも「名人が刀を受け取ってからの最初のアクションが刀を直すことだったというのは実に教訓めいている」(tsubo1)というコメントが付いた。

若い竹が並ぶ竹林の写真
写真はイメージ Photo by Low Angle on Unsplash

なぜ刀は曲がり、なぜ先に直したのか

日本刀は、もともと竹を切るための道具ではない。ただ試し斬りの素材としては定番で、Wikipediaの「試し斬り」には、竹は畳表に次いでよく使われ、骨の硬さに似ているといわれる、と書かれている。そして「角度が悪いと刀を傷めるので、注意が必要である」とも。刃の向きと振る方向がそろっていなければ、薄い刀身は横からの力に負ける。曲がったのは力不足ではなく、角度がそろっていなかったからだ、ということになる。

では、曲がった刀をその場で踏んで直すのは、刀にとってどうなのか。武道用の刀も扱う刀剣はせ川は、稽古で曲がった刀について「曲がったまま斬り稽古をすると、別箇所も曲がり、さらに悪化してねじれが出てきます」と説明している。直さずに振り続けるほうが悪い、ということだ。一方で日本刀販売専門店の十拳は、一度曲がった刀に「曲がり癖」がついて弱くなるといわれるのは、刀のバランスが崩れるためだと書いている。踏んで戻しても、元どおりにはならない。

竹のほうを見ていた人もいた。返信には「まだ葉も出ていない状態ですから竹としてはそこまで固くなっていないので」「皮付きの柔らかい竹よね」という観察がある。Wikipediaも、試し斬りには女竹のような肉薄の竹がよいとしている。達人が相手にしていたのは、切りやすい側の竹だった。

それでも、動画で起きたことの順番は変わらない。切れずに曲がった刀を、達人は足で踏んで直してから使った。踏まれた日本刀は、そのあとちゃんと竹を切っている。

出典

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